

名称
Komoro Premium
事業者名
合同会社生物資源利活用研究所(小諸市)
Komoro Premiumについて
【プロフィール】
農作物被害対策ならびに生態系保全対策のため、長野県では年間3万頭以上のニホンジカ(以下、シカと表記)が捕獲・駆除されていますが、その多くはゴミとして扱われ、経費を支払って埋設または焼却処分されています。
小諸市においても、2015年度以降、年間200頭を超すシカが駆除されるようになり焼却処分費が増加、鳥獣対策経費の削減が課題となっています。
加えて、命を奪ったシカをゴミとして扱う行為は倫理的にも問題があると考えました。
そこで小諸市は、駆除したシカをゴミとせず資源(主にペットフード)として商品化することで処分費を減少させ、持続可能な鳥獣対策の実現を目指すこととし、シカの解体施設「小諸市野生鳥獣商品化施設」を建設、シカを原料とした「Komoro Premium ペットフード」ブランドの開発に取り組みました。
【循環型社会実現に貢献する 事業 ・製品 ・サービス】
長野県の農林業や自然を守るため、長野県は2024年度、年間4万頭のシカを捕獲することを目標(2022年度捕獲実績 :約2万9千頭)に掲げている。
ただ、 捕獲数を増加させた場合、付随して捕獲にかかる経費や捕獲個体の処分費が高額となることから、予算の関係上、駆除を行うことが出来なくなることも懸念されます。
持続可能な鳥獣対策を行うためには鳥獣対策経費の削減も進めていく必要があり、そのためには、捕獲個体をゴミとして扱うのではなく、資源としての活用を図ることが「循環型社会の実現」に繋がることは間違いなく、これまで廃棄されていたシカを資源として生まれ変わらせたKomoro Premium ペットフードの開発 ・販売は循環型社会実現に貢献している製品であると言えます。
【志向性】
「Komoro Premiumペットフード」は、ジビエの課題であった衛生面 ・安全性の確保を第一に考え、鹿肉や商品を製造する施設は佐久保健所の意見を参考に設計し、食用と同じ衛生レベルの加工施設にしました。
また、ペットフードの開発にあたっては、ペットの健康に関して最も詳しい獣医師の意見を取り入れることがブランディングに最適であると考え、麻布大学獣医学部と小諸市の間で共同開発の協定を結び、獣医学部の教授陣から商品開発に関する助言をいただくと共に完成した商品を用いた臨床試験を実施しました。
これらの取組により、 安心・安全でエビデンスに基づいた栄養価の高いジビエペットフードの製造・販売を実施しています。
【表現性】
これまでは、駆除⇒廃棄処分という非循環型の鳥獣対策を実施していましたが、商品化することで、次の対策に繋げるという循環型の対策をイメージしました(図)。

加工施設の住所が 「小諸市甲字鹿曲輪 (しかくるわ)」であったことから、 「シカが来る」・「鳥獣対策を輪の形に循環させる」という期待を込めて本事業を「Sika-kuruwa Project」と名付けました。
小諸市だけでなく、近隣市町村で廃棄処分されていたシカも資源利用するため、多くの自治体や捕獲者への声掛けを実施し、ここ数年は年間1,500 頭前後のシカをゴミとせず資源化することに成功しました。
【情報伝達性】
HPやSNSでの情報発信や顧客とのコミュニケーションは当然行っていますが、顧客 (愛犬家 ・愛猫家)が最も信頼する相手は獣医師であると考えています。
そこで、獣医系の学会や勉強会に積極的に参加 ・出店し、臨床獣医師に対しKomoro Premium の特徴を伝え、動物病院においてKomoro Premium 商品を取り扱ってもらうよう働きかけ、最終的な顧客となる愛犬家 ・愛猫家には、獣医師から情報
発信してもらうように取り組んでいます。
また、今年度から専属の獣医師を採用し、顧客から質問などが届けられた際は、正しい情報を顧客に伝えることが出来るよう心がけています。
【地域性】
Komoro Premiumは長野県のシカを用いたジビエペットフードであり、正に地域資源がブランド商品となっています。
小諸市のふるさと納税返礼品としても登録されており、2020年度は年間2,700万円ほどの寄付が寄せられ、寄付者からは『小
諸市の「駆除個体を有効活用し循環型社会を実現する」という取組に賛同した』という意見が多く寄せられています。
このことからも、Komoro PremiumならびにSika-kuruwa Project は、自然環境や農林業を大事にするという地域の魅力アップに貢献していると考えています。
また、2019 年度には農林水産省主催の 「鳥獣対策優良活動表彰 ジビエ利活用部門」にて最高賞の農林水産大臣賞を受賞しており、循環型社会実現のための全国的なモデルとしても評価されていると考えています。
【継続発展性】
全国各地でジビエペットフードが開発 ・販売されている中、Komoro Premiumが一定の評価を受けているブランド価値は、安全性と専門的な知見を有した研究機関との連携であると考えています。
今後も継続して大学や研究機関と連携を図り、安心 ・安全なペットフード開発に努めます。
また、すでに計画は進行中ですが、ペットフード製造で培った技術を基に、食用の鹿肉商品開発に取り組んでいます。安心・安全で美味しいKomoro Premium 鹿肉メニューを提供できるよう、栄養士や料理人、飲食店関係者と共同して商品開発に努めていきます。
分類
しあわせ信州部門