名称
Restaurant 溪
事業者名
株式会社斎藤ホテル(上田市)
Restaurant 溪について
『Restaurant溪』は斎藤ホテルによる新事業のレストランです。
斎藤ホテルは開湯から1200年、古くは湯治場として栄えた鹿教湯温泉で宿を構え、時代の変化と共に旅館からホテルへ変化していきました。長年のホテル運営と日帰りバスツアー企画を通じ、地元地域の産業・個人農家の方をはじめ県内の様々な方々と多くの関係を築いてきた中で「お世話になっている地元の産業を巻き込み、鹿教湯温泉斎藤ホテルから信州の様々なブランドを発信していき、鹿教湯温泉を発展させていきたい」という想いからRestaurant溪の計画が出発いたしました。
Restaurant溪のコンセプトは「信州のおもてなし」です。信州産の食材とお料理を楽しんでいただくだけではなく信州の様々な産業・文化背景をRestaurant溪の利用者に体験を通して触れて頂くことを目標としております。
建物からお客様の手元に至るまで信州産を取り入れ、物や生産者にまつわるエピソードを添えることで信州に根付いてきた文化背景を食事と一緒に案内をしております。
この計画を進めていくにあたって、様々な地元産業の方の意見やご提案をいただきながら共に進めて参りました。農産物直売所や地元農家さんのご協力により朝どれ野菜の提供による「信州野菜のガルグイユ」の実現や、県内でも力を入れている鹿肉、伝統食材の佐久鯉、県内で研究開発されたさまざまな水畜産物などを新しい形でご提供しております。
一部器には県内在住の作家による物を選び、信州の魅力を表現しています。あわせて提供する飲料もほぼ全て信州産の物をそろえ、なかでもワインについては地元丸子地域にあるシャトーメルシャン椀子ワイナリーを中心に県内ワイナリーの物のみを扱っております。お料理にあわせた組み合わせ(ペアリング)を提案することでNAGANOWAINEへのきっかけ作りをしております。
デザインのキーワードは『特別感』『信州の里山の中にある、上質な空間』です。昨今
のトレンドを研究し、東京の設計会社に建物の元になるデザインを依頼し、その後複数の地元企業と会議を重ねイメージを具体化していきました。里山の渓流沿いという立地を生かし外観はシンプルに、内装は窓から望む渓流沿いの景色と調和するようなものとなっております。建材に使用した信州産ブランド集成材「唐松丸」を活かしたデザインや地元の里山から切り出した木材で作成したシャンデリア等を取り入れ、木を活かした空間作りをし、合わせて食器やカトラリー、ペーパーアイテムなどはキーワードとトンマナを合わせた素材と色を選ぶことで統一感を持たせております。
メニューには料理名と使用した食材や器・家具などRestaurant溪に携わる生産者や企業の名前を載せてお客様にご案内しております。レストラン利用後に手元に残せるように持ち帰りのしやすいサイズで作成をし、読み返した時に生産者を知っていただくきっかけを作る機能を持たせています。実際に生産者の元へ足を運び商品を購入していただいたという嬉しいお話も伺っております。
お客様とレストラン、レストランと地域の生産者のつながりだけでなく、お客様が生産者へ直接アクセスするきっかけを作ること・発信することを「地域への恩返し」と考えております。
そのための取り組みとして、生産者の背景や想いを掘り下げ、HPやSNSなどで発信を行っております。
今後「信州のおもてなし」のさらなる向上として地元ワイナリーとの連携強化を進めていきたいと考えております。
その取り組みの一環として昨年はマンズワイン小諸ワイナリーと連携したワイナリーツアー付メーカーズディナーを開催いたしました。
また、行政との連携として日本特有の温泉文化と合わせた「温泉」×「信州フレンチコース」をご提案。
現在野沢温泉と協力をしながら共創企画が進行しております。
宿泊業、旅行業を営む「斎藤ホテル」だからこそできる新たな“信州の食文化の発信拠点”となり日本人のみに限らず将来的にはインバウンドの方も視野に入れたワインツーリズムとしてマーケティング活動を進めていきたいと思います。
分類
NAGANO GOOD DESIGN部門