2023しあわせ信州部門 大賞「信大クリスタル」

名称

信大クリスタル

事業者名

信州大学 信大クリスタルラボ(松本市)

信大クリスタルについて

【プロフィール】

信州大学 手嶋・林・山田研究室は、無機単結晶育成技術「フラックス法」で世界を先導し、その技術により、多様な結晶材料(信大クリスタルと命名)を生み出しています。当研究室では,信大クリスタルを核として、環境・エネルギーなど、さまざまな社会課題解決に向けた取組を進めています。一般に材料開発やその活動は、市民生活からやや離れていると感じられます。

そこで、科学を身近に捉え、市民との架け橋、日本と世界の架け橋になり、共創における共通のビジョンになれるように、信大クリスタルを創出しました。水都信州ブランディングを目指し、地元酒蔵との共創で酒造好適水による日本酒の高品質化を実現し、食品加工分野や工業分野、更には人々の行動変容にまで「水」を中心に取り組んでいます。

【共創によるイノベーションが生み出した事業・製品・サービス】

地元の酒蔵との共創をきっかけに、信大クリスタルの一つである浄水材料「三チタン酸ナトリウム」(通称NTO)がもつ機能と日本酒醸造における水の利用方法が、相性が良いとわかりました。

NTOは、水に含まれるCaやMgなどのミネラル分を除去せず、(重)金属イオンを除去できます。仕込み水の水質は重要です。水にFeやMnが含まれていると日本酒の変色などの品質低下につながる一方で、ミネラル分は酵母の発酵に必要です。

一般的に仕込み水は、ミネラル分や金属イオンも含めて水に含まれる成分を全て除去し、後からミネラル分を添加しています。そこで、NTOを用いて浄水すると、その地で産まれた水の特長を最大限にいかした酒造りが可能となります。

【志向性】

信大クリスタルは、信州大学工学部の小さな研究室で産声をあげました。

信大クリスタルは、信州大学工学部の小さな研究室で産声をあげました。

しかし、信大クリスタルは、水、エネルギー、食料など、さまざまな分野に対して解を提供する可能性を秘めています。材料を研究室で生み出すことにとどまらず、それらが実際に社会で使われ、現在だけでなく将来の課題解決に貢献するところまでを見据えた活動に注力しています。

ひとつ上の目的を達成することで、未来の主役である子ども達の笑顔あふれる世界を創りたいという意思を込めて、「笑顔のソリューションを。信大クリスタル」というワンボイスを作りました。

【表現性】

大学、連携企業・団体、地球、顧客が信大クリスタルを通じて、笑顔になるような製品・サービスおよびブランドロゴをデザインしています。

日本酒の共創では、信大クリスタルの特長が、製品の高付加価値化に繋がることによるレピュテーションの向上、企業としては製品品質および利益の向上、地球としてはエネルギーや薬剤を使わないエコな水処理の実現などを同時に満たします。

これらが包含されているのが信大クリスタルのブランド価値であり、結果的に顧客に対して笑顔を届けることができます。さらには、タンザニアにおいて安全・安心な水を供給し、子ども達に笑顔を届けられるように、多くの連携先と共に水質改善活動も行っています。

【情報伝達性】

ブランドの情報発信はさまざまな方法で実施しています。HPやSNSでの活動報告、学会や研究会などの対外発表、小学校・中学校などでのボトムアップ教育、展示会での出展、地域産業とのコラボレーションなど、積極的な情報発信に努めています。

また、パンフレットやブランドメッセージカードを作成し、コラボレーション商品とともに展示するなど、一般の方々の目に入りやすい、手に触れやすい環境も整えています。

また、HPなどに問い合わせフォームを設けることで、いつでもコミュニケーションをとれる環境を整えています。これらのツールは、信大クリスタルの思想を反映した同一のデザインとし、信大クリスタルのブランドメッセージを的確に伝えられるようにしています。

【地域性】

我々は信州が代表する地域資源「水」を起点にし、地域産業とのコラボレーションを力強く推進しています。我々の結晶材料と日本酒とのコラボレーションがきっかけとなり、結晶材料と水の高付加価値が結びつきました。

その結果、日本酒だけでなく、クラフトビールや発酵食品である味噌や醤油、郷土料理のおやきなどのとのコラボレーションが創出されました。

観光産業に直結する飲食店とも多数協働し、信州の水を大切に表現しています。地域資源である水を起点とすることで、信州の特徴のある地域産業(酒蔵数:日本2位、味噌の生産量:日本1位)においてオリジナリティをのばし、高付加価値化に貢献していると考えています。

【継続発展性】

地域産業との継続的なコラボレーションの拡大だけでなく、信大クリスタルから派生したサービスブランドとして、アクアスポットsweeを県内に広く展開しています。

アクアスポットsweeは信大クリスタルを搭載した給水サーバーであり、自治体や企業などと連携し、県内各所に設置を進めています。市民の方々が、マイボトルをもっておいしい水道水を楽しみ、脱ペットボトルやCO2排出量削減など、環境負荷低減やSDGsに貢献する活動です。人々の行動変容に期待しています。

おいしい水を起点に世界を救うというミッションのもと、チーム sweeを発足しました。今後も信大クリスタルのこれらの活動を通して、信州の価値向上・魅力創造に努めます。

分類

しあわせ信州部門

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