名称
信濃錦「超玄」
事業者名
合資会社宮島酒店(伊那市)
プロフィール
信濃錦では「信州の大自然を表現すること」をテーマとして酒造りを進めてきました。長年の取り組みである「地元産契約栽培米を用いた低精白の純米醸造酒」という酒造りの中で、特に有機肥料のみを施肥し農薬を一切使わない特別栽培米を用いた製品群をリブランディングし「超玄」シリーズとしました。「地元産契約栽培米を用いた低精白の純米醸造酒」という概念につきましては、ウェブサイト(https://www.miyajima.net/sogen/)に記載しておりますが、今までは品種毎に別々の商品として販売してきたため、ともするとイメージが拡散してしまうきらいがあり、それらを統合して再構成し「超玄」シリーズとしてブランディングを行っています。
【ゼロカーボンを意識した製品・ サービス】
ゼロカーボンは、含炭素温暖化物質の排出を抑制し或いは吸収して温暖化を食い止めることを目的としていますが、炭素を含まない一酸化二窒素等を含めた抑制も必要であると考えます。有機栽培では肥料分の分解が緩慢となるため、そこに固定されている炭素を長期にわたり土中に留めることができ、さらに温室効果が大きな一酸化二窒素の放出も緩やかにできます。また、化学物質を使わないことにより農地周辺の生物多様性が維持され、それらの生物が炭素を体内に固定するなど、炭素を土中に隔離することに貢献できます。さらに、遥々海外から運ばれてきた粗製アルコールに再び熱を加え蒸留して仕上げられる「醸造アルコール」を用いず、精米時に多大なエネルギーを消費する高精白を行わずに敢えて低精白とすることで、エネルギー消費を積極的に抑制しています。なお、低精白純米酒の酒粕は廃棄することなく、稲作の肥料として有効活用しています。
【志向性】
「超玄」のブランドコンセプトは、この宇宙の成り立ちを記述しようとする「超弦理論」へのオマージュです。県外産酒米「山田錦」への信仰や、「高品質=高精白」という価値観、或いは醸造アルコールを加えて香りを最大限に引き出した大吟醸を高く評価するという時代が長く続いた中で、信濃錦が平成16年以来積み重ねてきた「地元産契約栽培米を用いた低精白の純米醸造酒」という考え方は異端と見られてきましたが、温暖化や食糧危機を目前とした現在、地域循環経済としての地元へのこだわりや、農薬の使用を抑制した農法の大切さ、低精白米を用い醸造アルコールを用いないことで、フードロスやエネルギー消費を抑制できることなどの意味合いをご理解いただけるようになってきました。既存の価値観から全く別の価値観へ社会を変革させなくてはならない「SX」の時代を迎え、あたかも超弦理論の中で重力を伝達する重力子のみが別の宇宙に飛び出していくことができる姿にも似て、新たな日本酒の姿を体現した製品群にふさわしいブランドであると考えています。
【表現性】
発売当初より超弦理論の方程式をラベルに刷り込むなど、そのブランドコンセプトの提案を意識してまいりましたが、この冬より発売する新酒からは、瓶の首に巻きつけるのみの新たなラベルデザインを採用し、省資源化を推進する形で商品コンセプトに沿ったラベルとしています。これにより、単にラベル紙の使用量削減のみならず、ラベルの汚れ対策として用いてきたラベル保護フィルムなどの副資材の削減も可能となります。
とは言え、ラベルは商品の顔であり、それを小さくすれば商品の存在感がうすれてしまいます。そこで、存在感は残しつつも、エシカルな志を持った商品であることを訴求できるデザインを採用しました。ラベルを瓶の首に巻きつけることで一定の長さを確保し、必要事項のみならず、超弦理論の方程式をさりげなくデザインでき、またJANやQRコードなどの無粋なものは裏側に表示させることが可能となっています。
【情報伝達性】
「超玄」シリーズは、BS-テレ東の新番組の第1回放送において全国に向けて発信されると同時に新発売とさせていただき、発売の翌日には数千本が完売となるなど絶好のスタートダッシュを切ることができました。それに併せウェブサイトやインスタグラムなどにて、米作りからの酒造りや商品紹介を積極的に行っています。また、社長が得意先などで行っているSDGs関連の講演の中で、その取り組みの体現例として「超玄」シリーズを紹介することにより、取引先での積極的なお取り扱いが広がっており、業界紙などにおいても取り上げられるようになりました。
【地域性】
昭和57年に酒造米の全てを長野県産酒造好適米として以降、平成3年より伊那谷にて契約栽培に取り組み始め、平成17年にはその全てを無農薬もしくは減農薬栽培とすることができました。地元産の「顔の見える」原料米にこだわることで米を通して環境保全の大切さなどが訴求でき、「超玄」シリーズのみならず、「信濃錦」ブランド全体のイメージ形成に大きく寄与しています。
また「GI長野」のイメージビデオにおいて酒米作りの代表蔵として取材され、地域資源を活用することの意義が全世界に向けて発信されることになっています。さら に、長年近く続けている無農薬田「草取り援農の会」には全国から参加者が集まり、長野県の環境の素晴らしさや、それを保全していくことの大切さを実感して戴いております。それと合わせ、社長の個人アカウントにおいても長野の大自然を感じていただくアピールを続けています。
【継続発展性】
「グレート・リセット」という言葉に象徴されるように、現在、長年慣れ親しんできた「資本主義」にメスを入れ、社会システムそのもののあり方を見直すことが論議されています。それはSDGsへの取り組みのみならず、個々人の生き方そのものに変革を迫るものでもあり、そのような時代の中で「日本酒」の進むべき姿の提言を続けています。「超玄」シリーズは、それを体現する低精白純米酒の中でも特に精鋭的なブランドであり、SDGsについての情報発信や講演活動を通して、お客様を含めた日本酒業界のゼロカーボンに向けた意識改革と連携させ、ブランド価値の維持、向上の努力を続けてまいります。
宮島酒店 ホームページ https://www.miyajima.net/
分類
しあわせ信州部門