2021しあわせ信州部門 大賞「N-PLAjet」

名称

N-PLAjet

事業者名

日精樹脂工業株式会社(坂城町)

プロフィール

 1947年の創業以来プラスチックに携わる当社は、1990年代初めからいち早く生分解性樹脂を用いた射出成形法の研究開発に着手、材料の進化に合わせ、それら材料に対応した成形技術を継続して開発してきました。生分解性樹脂は環境負荷低減につながることから、素材としてのポテンシャルは高いものの、成形加工しにくい(用途が限定される)、材料価格が高い、供給量が少ない等の課題も多く、普及拡大のネックとなっていました。射出成形機メーカーの当社としては、成形加工面における課題を解決し、成形加工メーカーがターンキーで生分解性樹脂成形に参入できるよう、PLA専用の射出成形システムを開発し、上市。プロジェクトを組んでPLAの普及拡大に努めています。

【ゼロカーボンを意識した製品・ サービス】

  PLAは、サトウキビやトウモロコシ(食用ではなく飼料等の工業用)を原料とする植物由来で、かつ生分解性を有するプラスチック材料であり、使用後にコンポスト環境に埋設する事で、微生物の働きにより水とCO2に分解されます。更にCO2は植物の光合成により吸収されることから、PLAはカーボンニュートラルな素材と言えます。当社は、このPLA材料向けの射出成形システムを開発、一部顧客で実用化されています。直近では長野県内の間伐材を有効利用することを目的に、間伐材を微粉末化してPLAにブレンドした、コンポジット材料(木粉・PLAとも100%自然由来)の開発にも取り組んでいます。

【志向性】

 環境負荷低減につながる素材として注目されるPLAではすが、成形が難しい(流動性・離型性が悪い)、耐熱性が低い、需要に供給が追いついておらず材料価格が高い、といった課題があり、流通量は頭打ちの状態にあります。射出成形機メーカーの当社は、電子レンジや食洗器での使用にも耐え得る耐熱製品向けやガラスのような薄肉・透明製品を可能とする成形技術、更に木粉を配合したコンポジット材料など、用途拡大に向けた技術開発を行っています。それらPLA専用の各種成形システムの総称が「N-PLAjet」です。

【表現性】

 当社が提供するものは、環境負荷の少ないプラスチック製品を生み出すための射出成形技術・成形システムであり、この成形技術を使用した各種成形サンプル(デモ成形用金型)を製作し、国内外の展示会やプライベート展等で成形実演を行い、PLAの普及拡大に努めています。また、N-PLAjetのロゴマークを策定、展示会出展機等にロゴシールを貼付しています。

【情報伝達性】

 PLA成形技術の普及には成形加工メーカーとその上流にあたるエンドユーザー(消費財メーカー)の意識改革が必要であり、国内外の展示会・プライベート展を通して、情報発信を行っています。また、国際会議(アフリカ開発会議、世界水族館会議等)の場で、成形サンプルをお土産として提供するなど、カーボンニュートラル素材(植物由来&生分解性樹脂)であるPLAの啓蒙活動を実施しています。

【地域性】

 前述した通り、成形技術の引き出しの1つとして、長野県内の間伐材を微粉末化し、PLAにブレンドしたコンポジット材料の研究開発に着手、2021年10月1日・2日に開催された「さかきモノづくり展」で成形事例として紹介した他、同年9月29日~10月1日に名古屋で開催されたプラスチック工業展で実演しました。
 長野県内の間伐材の有効利用を視野に、全国第3位の森林県である長野県に本社を置く企業として、またプラスチックに携わる当社だからこそ実現できるゼロカーボンに向けた取組みを一歩一歩進めていきたいと考えております。

【継続発展性】

 海洋マイクロプラスチックの問題により、世界中で使い捨てプラスチック製品の脱プラスチックの動きが加速していますが、地球環境に配慮した取組みには様々な形があります。同じ山頂を目指すにしても登り方は様々で、一概に何が正しいとは言えませんが、プラスチックやリサイクル、リユース等に関する正しい理解が必要と考えます。エンドユーザーを動かすにも一般消費者の消費動向が重要と考えることから、一般向けの啓蒙活動を充実させてまいります。

日精樹脂工業 ホームページ http://www.nisseijushi.co.jp/

分類

しあわせ信州部門

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