名称
黒松仙醸 どぶろく
事業者名
株式会社 仙醸
プロフィール
どぶろくの歴史は稲作と同じくらい古く、弥生時代から造られていました。
蒸して、おかゆ状になった米に空気中の酵母が付着してアルコール発酵したものが、どぶろくです。
江戸時代には全国で地域色豊かなどぶろくが造られましたが、明治になり酒税法が整備され、どぶろく製造は密造として取り締まられるようになり衰退しました。
平成に入り、構造改革特区でどぶろくの製造が認められるようになったほか、甘酒と同様に健康飲料としての価値が見直されつつあります。
◇製法と味わい:当社のどぶろくの発売は2011年。
米を70%まで精米し低温発酵でアルコール度数は6%まで発酵させます。
甘さと酸味のバランスの良い軽快なタイプです(一般的などぶろくは精米歩合は90%、アルコール度数は17度、辛口が多い)。ガラス瓶に充填して打栓し、瓶ごと低温(58°Cくらい)で加熱し、発酵を止めた上で急冷します(最小限の熱しか加えないことでフレッシュな飲み口を実現)。
自社の冷蔵庫で保管の上、全国に発送しています。
◇開発の経緯と販路:当社は幕末(1866)創業の造り酒屋です。
酒を仕込む際に酵母を培養する酒母の段階の甘酸っぱい味わいを商品化したいとの思いがきっかけです。当初は地元上伊那での流通が中心でしたが、県の中小企業振興センター主催の展示会や、百貨店等でのプロモーションなどを通じてファンを獲得し、現在も、新たな販売先が増え続けています。
◇ラベルデザイン:味わいに加えてラベルデザイン、とりわけライチョウのイラストも好評です。
雷鳥は長野県鳥であり、絶滅が危惧されるますが、古くから日本人にとって信仰の対象でもありました。
また当社の社名「仙醸」は南アルプスの仙丈ケ岳に由来しており、商品ラベルのイ
ラストには、仙丈ケ岳を思わせる山並みを歩く、雷鳥の親子が表現されています。
色は光沢のあるシルバーの地に、白い雷鳥というもの。
これは冬になると純白に羽の色を変える、冬の雷鳥をイメージしています。
◇経営理念:当社の経営理念は「米発酵文化を未来へ」。
創業以来、日本酒の製造だけを行ってきましたが、現在は清酒のほか、米焼酎、リキュール、どぶろく、甘酒、スピリッツ、などに開発領域を広げています。
背景には、過去30年以上にわたる国民一人当たりの米の消費、日本酒の消費が年々減少していることがあります。
農村での耕作放棄地の増加も社会問題化しています。
当社は創業以来150年にわたり培ってきた麹菌や、酵母菌の力を生かした発酵技術を応用し、現代人のライフスタイルや味覚にあった、新しい米発酵飲料を開発し販売することで、米消費を拡大し、農村の美しい田園風景や自然を守っていきたいと考えています。
雷鳥は、恩恵を与えてくれた自然の恵みの象徴であり、今後、保護すべき自然と生態系の象徴でもります。
◇どぶろくから派生した商品:どぶろくの成功をきっかけに、この理念のもと開発した商品はライチョウのデザインで統一しています。
2005年から製造している甘酒や、麹菌や酵素がそのまま生きている非加熱甘酒=「生あまざけ」、そして、日本酒と地元伊那谷の青梅を使用して瓶内二次発酵させた「梅の米発酵スパークリング」など。
最後の例は本場フランスのシャンパーニュ地方の伝統的な方式を用いてお米から造った本格和風シャンパンであり、洋食や中華など、現代の日本人の食卓にならぶ世界各国の料理ともあう味わいで好評を博しています。
分類
NAGANO GOOD DESIGN部門