2012 選考結果

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信州ブランドアワードは、当地の優れたブランドを選考・周知して地域の魅力を高め、信州全体のブランド価値を底上げしようと2004年に始まりました。「志向性」「表現性」「情報伝達性」「地域性」「継続発展性」という5つの指標で選考するのが特徴で、これまで入賞したブランドは延べ109を数えます。

重ねて今回で9回目になりますが、振り返ると選考されたブランドは個別の光りを放ち、そして信州を後ろ盾とすることで更に輝きを増しているのが判ります。正に、後続のブランドづくりの目標としてもその存在感を増しています。

今回の選考では、先ずノミネート委員会が公募と推薦で挙った28ブランドを11に絞り選考委員会に諮りました。それらを審議した結果、「中乗さん」「辰野ほたる祭り」「MINAMISAWA」「アトリエ・ド・フロマージュ」「Yomeishu(養命酒)」「道の駅 雷電くるみの里」「La CASTA」「キッセイ薬品(KISSEI)」「佐久バルーンフェスティバル」「諏訪の長い夜」「白樺リゾート 池の平ホテル」の11ブランド(順不同)が入選となりました。

その中から、総合的に最も評価の高い「大賞」、特定の指標で評価が高く大賞に準ずる「特別賞」、そして特に地域公益性がある「長野県知事賞」の各賞を選考しました。

選考結果

大賞
長野県知事賞
特別賞
入選

最終選考会の様子結果、「大賞」に選ばれたのは「Yomeishu(養命酒)」でした。主力商品の「養命酒」は400年以上遡る慶長7年(1602年)に伊那谷で創製された薬酒で、「生活者の信頼に応え、豊かな生活に貢献する」という理念のもと今日まで連綿と受け継がれ、全国で愛飲されています。2004年に商品ブランドとして入賞していますが、今回はショップやレストランの複合施設「くらすわ」や、駒ヶ根工場見学施設「養命酒健康の森」等のサービス事業も加えて、改めて企業ブランドとして選ばれました。東洋医学に基づいた「養命酒」の本質を守りつつ、厳重な品質管理により安心・安全な製品を造り続ける「志向性」、効能が直接訴求できるよう、早くから全国にTVCM他のPRを実施して来た「表現性」「情報伝達性」、新たなサービス事業に参入して直接お客様と接し、ニーズを汲み取って商品開発やサービスの向上に努める「継続発展性」等によって、総合的に最も高い評価になりました。

「特別賞」には、「MINAMISAWA」「アトリエ・ド・フロマージュ」「キッセイ薬品(KISSEI)」の3つが選ばれました。

「MINAMISAWA」は1955年創業の不凍栓及び水道部品の製造販売が基で、その蓄積したノウハウを活かして水道機器のエレクトロニクス化対応商品の開発に着手、小便器用自動洗浄器「フラッシュマン」、自動水栓「Sui-Sui」等の商品を生み出し製造・販売するメーカーです。既設の水栓を利用する「後付け方式」が特長で、大手では難しいスピーディーで低価格なビジネスモデルを構築しています。

Made in Naganoにこだわりを持ち、開発・製造・販売・保守まで一貫して行って現場に即した対応を柔軟に、機敏に、手厚く行おうとする「志向性」、商品のみならず、プロモーションも含めたトータルなデザインを展開する「表現性」、自社ホームページで商品紹介に加え節水による環境保護や、文化として「トイレの魅力」を高める取り組み等を積極的に発信する「情報伝達性」等が、特に評価されました。県下の製造業でも、高度な技術を活かしてこの様に自社ブランドで商品やサービスを提供するモデルが今後増えて欲しいとの期待も添えられました。

最終選考会の様子

「アトリエ・ド・フロマージュ」は、1982年に夫婦2人で創業、今年で30周年を迎えます。「豊かなチーズワールド」をコンセプトに様々なチーズ作りに挑み、モンドセレクション金賞を3回受ける「カマンブルー」、フラッグキャリアーエアラインのファーストクラスで採用された「カマンベール」等充実した商品を提供しています。自ら作って販売するという姿勢で続けて行く中で「マスカルポーネシュー」という大ヒット商品も生み出しました。毎年全国有名百貨店のフェアでの販売を続けてお客様に直に触れ、その気持ちに沿ったコミュニケーションを通じてしっかりしたチャネルを築いて来た「情報伝達性」、地域の野菜やワインと共にチーズを提供したり、「フロマージュ祭り」等で積極的に地元との関係を深めようとする「地域性」等が評価されました。

「キッセイ薬品(KISSEI)」は1946年の創業以来、「純良医薬品を通じて社会に貢献する」「会社構成員を通じて社会に奉仕する」を理念に独創的な新薬の研究開発を推進、様々な領域で医療ニーズに応える新薬を送り出して来ました。主要施設を長野県内に置き、営業網を全国に構築、主要製品を欧米他世界へも展開する医薬品メーカーです。ホームページ等による健康情報の提供、TV・新聞・雑誌等への企業広告掲載、約700名の医療情報担当者を通じた情報提供や収集を行っている「情報伝達性」、一貫して独創的な新薬の研究開発に注力し、新しい価値の創造に挑戦して企業の社会的責任を果たして行こうとする「継続発展性」等に評価が集まりました。

そして「長野県知事賞」には、「道の駅 雷電くるみの里」が選ばれました。これは、地域活性化、農業振興、雇用拡大等の大きな期待を背負い、2003年9月にオープンした道の駅です。民間の有限会社「雷電くるみの里」が、行政の指定を受けて運営しています。日本一きれいな道の駅を目指し、扱う商品は地元産(東御市産)に徹底することを基本方針にして特産品や地域文化を全国に発信、地域活性化と道の駅本来の役割発揮に努め、昨年度は来訪者訳44万人、内リピーターが約8割という実績を上げています。直売所の品揃えは地元産中心、食堂メニューも地元の食材を使った郷土食にする等、施設全体で地元産にこだわって地域振興に貢献しようとする「志向性」、特に特産のくるみを使った商品作りに力を入れたり、農産物には全て生産者の名前を表記し店舗の壁に生産者の顔写真やプロフィールを貼り出す等、地域と一体になったブランドづくりを進めている「地域性」等が高い評価となりました。

今年度は長野県行政の中に「信州ブランド推進室」という組織も設けられ、その主管によって目下全県統一的なブランド戦略の検討が行われています。そこでは係わるキーワードとして「健康長寿」や「清らかな水」といったことが挙がっていますが、今回の選考結果には図らずもそれが反映され、個と全体の整合性がうまくとれているようです。個々のブランドが集まって信州全体のブランド価値を押し上げることは、このアワードが目指すところでもありますが、そこにまた一つ近付いたと実感できる選考になりました。今後もこの方向性を失うことなく、この機会を更に積極的に活かして育てる効果も生み出すようにして行けたらと思います。

また、ブランド価値を高めて行くためには「サービス」が重要との見識が、改めて語られました。特に外国と比べ日本には「勤勉」「謙虚」「気遣い」「思いやり」といった価値観が浸透しています。これこそが他にはない優れた「サービス」を生み出す基になり、信州も大いに当てはまるとの指摘です。以降その意識を県下に一層広げ、ブランドづくりに活かすことが望まれます。

そして、このアワードの受賞実績が事業者にとってもっと誇らしいものとなるように、認知度を高めて行くことが不可欠との課題も提起されました。次年度以降県全体でブランドづくりの戦略を共有し、力を結集して取り組み本格化させようとしています。今回の選考は、丁度その過渡期にありました。これからその動きに前向きに乗じて、これまでに選考してきた信州発の優れたブランドの数々をもっと露出させ、広く周知してもらえるような情報の発信を進めて行きたいと思います。

記録的な円高や欧州債務危機といった波乱含みの経済環境の中で、長野県産業の先行きもなかなか晴れません。しかし、持続可能な地域産業を実現して行くには、他にはない魅力と個性を放ち、豊かな地域資源を活かして優れたブランドをつくり、もっと積極的に発信して付加価値を高めて行くことが益々重要になるのは確かです。この事業がこれからもその一翼を担う存在であれば幸いです。

今回も、このような想いを共有する企業や個人の尽力に支えられての選考になりました。献身的に携わっていただいた皆様に、この場を借りて心より感謝申し上げます。

[信州ブランドアワード2012選考委員] 順不同・敬称略
  • 信州ブランドフォーラム開催実行委員長 土屋修三 ※委員長
  • 社団法人長野県経営者協会専務理事 水本正俊 ※副委員長
  • 長野県観光部信州ブランド推進室長 熊谷晃
  • 長野県地域資源製品開発支援センター 総合プロデューサー 鈴木進
  • 一般財団法人長野経済研究所 調査部長 小澤吉則
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